はじめに

 現在、パソコンの普及により「IT」という言葉が巷に溢れている。その流れに遅れまいと、
企業、官庁、学校、家庭でIT化が図られ、インターネットの利用が普及してきている。その
インターネットの技術を組織内に利用した技術であるイントラネットが企業を中心に普及し
ようとしている。
 イントラネットは必要だと業者に進められて導入する前に、自宅や狭いところで実際に体
験し、自分の職業に、地域での役割にどのような効果が期待でき、どのような利用があり、
どのように変わるかを考えなくては、導入の是非も含めて、導入がうまくいかないか、より
多くの効果が期待できない。
 そこで書店にいき、パソコンに関する本を手にとられる人も多いと思うが、そこに書かれ
ている内容はソフトや技術のマニュアル書の形態がほとんどであり、そのソフトや技術で
何をするかが抜け落ちてしまっている。それほど、技術革新の進展が速く、マニュアル書
を書くだけで手一杯な状況なのではないかと思う。そこで、本書では、イントラネットという
技術をどのように利用するかに重心をおき、そのイントラネットの構築に必要な知識を、全
く初めての人にも理解できるように、構成したものである。イントラネットが社会、教育、家
庭に果たす役割について、実際に自宅でイントラネットを構築し、想定されることを意見も
含めて述べ、イントラネットの普及に役立てたいという考えである。
 話は変わるが、以前A君が困っていることを、口コミで知り、実際にA君に会って、困って
いることを解決したことがあった。そのとき思ったことは、口コミではなく、もっと必然的に情
報を知ることができないかであった。A君にとっては、困っていることを相談するのは家庭
でしかなく、それ以外に相談する場がない状況だったと思う。A君に限らず、困ったときに
相談できる場があるかどうか。そんなこと関係機関に相談すればよいと言う人も多いと思
うが、煩わしいのが先にくるし、どこに相談すればよいかわからないし、それに対する対応
が的をえているかわからない。そういう場合、ひとりか狭い範囲で思い悩むことが多い。そ
こで、思い立ったのがイントラネットの掲示板であった。掲示板では、相手を特定する必要
はなく、独り言の類でもよかった。その独り言がいろいろな形で伝播するイントラネットは、
より多くの人(関係者)の認識に広がる構造を持ち、個人情報の保護というセキュリテイの
面で信頼性が高い。
イントラネットと聞いての反応で多かったのは、難しいという反応でした。イントラネットを構
築するのは、それなりに技術がいりますが、利用するのは平易である。自動車を組み立て
るのは技術的に難しいが、乗るのは易しいのと共通している。自動車をどのように使うか決
めて乗らないと効果を発揮しないのと同じく、道具であるイントラネットもどのように使うかを
決めないと何の効果も現われない。それどころか、お荷物になってしまう。そこで、どのよう
な利用の仕方があり、効果があるのかを家庭、地域、学校、社会について述べていきたい。
また併せて、教育への提案もしていきたい。これは、 一つの私案であり、これを切り口の一
つに加えて頂き、様々な方面から討論がなされることを願っている。
なお、家庭への普及のために、できるだけ簡単に、安上がりにイントラネット(各種サーバー、
掲示板、チャットを含む)を構築できる方法と家庭内Webページ、SOHOへの利用、チャット
の利用例も載せました。これを参考にして、自宅で試されて体験してみて下さい。この体験
をもとに表紙にあることを考えてみて下さい。 
2001年 1月  
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