5 観念主義者の横行(1)


 戦後の教育界で長年にわたってかなりの発言力をもってきた教育評論家が、いじめ自殺がお
こったとき、次のように分析している。
 教育の面で急激に頭をもたげてきたのは、勉強のできる子の優遇、できない子の軽視という風
 潮である。・・・なによりも点数だいじ! 偏差値だいじ! 真・善・美を追求 する精神のはたら
 き、感性や感情のかがやきなどは、このさいどうでもいいといった風 潮が、子どもたちの心を
 冷却し、その内部にささくれをつくった。・・・
 事実は戦後より戦前の方が、成績の格差に対する価値観は強固だし、海軍では何番で卒業し
たかが一生を左右するものであったくらい成績主義が幅をきかしていた。この評論家は、何でも
そこに因果を結びつけたがる。先入観に凝り固まっているとしかいえない。
 この発言のような平等主義のおかげで、できる子の扱いが片隅に追いやられてきたのである。
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