5 学校組織の特性と協働体制

 学校は現状維持機能を体質として内包しており、「前年度踏襲」を基本としてはたらいている組織
体である。学校は他の組織と比べて、個々の教職員の裁量とされる範囲が広く、個々の判断が尊
重される傾向が強い。この裁量権の広さは、時に自分の学級、自分の学年という意識を形成し、他
の学級や学年の指導をしにくくするという状況を生み出す。特に問題行動等の指導にその傾向が強
く現れる。言いかえれば学校組織は個々が孤立化する危険性の高い組織といえる。
 教職員はそれぞれが多くの教育実践を行い、成功体験をもっている。しかし、その体験は個人の
ものとして、しまいこまれていることが多い。たとえば、学年としての計画を立て調整を図っても、学
級によって実態が違い、かなり学級担任の裁量に任されている面がある。また、学級担任の経験
や考え方の差によって実践の方向が異なってくる。ある意味では、教職員は閉鎖性をもっており、
価値観の違いが許容される組織であり、個人の殻に閉じこもりやすい土壌をもっている。
 しかし、毎日の実践は貴重なものであり、その蓄積が全体の方向づけに役立つ大切な要素であ
る。その実践における成功体験や失敗体験を皆で共有して発展させていかなくては、学校を取り
巻く様々な問題、変わる子どもたちに対応できないのではないだろうか。
 これからの学校では、教職員それぞれの特性を生かし、全教職員がいかに協働して教育を展開
できるかという構想が重要となる。教育の問題、課題、成功体験、失敗体験等を個にとどめるので
はなく、情報の共有化を促進するツールとして、イントラネットを校内に入れる必要がある。
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