2月6日(金) 人間ドック2日目
丸山先生は大腸検査があり、待合室で隣に座った人に訊いてみた。
「きのうの胃カメラの検査は痛くなかったですか」
隣の人は老齢の婦人で、おとなしそうな人であった。
「いえ、べつに。リラックスしてと言われました」
「異物なのだから、体がうけつけないのが普通ではないのですか」
「××医学協会の検査で、毎年ひっかかり、再検査を受けるように通知を受けます。その通知を受け、地元やこの病院にきて胃カメラでの精密検査。そしていつも言われるのです。胃の皮膚の一部が硬くなっているだけで異常はないと」
「それでは、検査を受ける必要はないのではないですか」
「わたしもそう思うのですが、××医学協会の検査はバリウムなので、詳しくわからないためか、毎年通知が来るのです」隣の人が説明を求めるような、諦めにも似た表情で言った。
誰が考えても不必要な検査と思うが、検査関係者は誰もおかしいとは思わないのだろうか。
大腸検査の医者の診断があり、大腸はきれいで大丈夫だが上の腸はどうかわからないという診断だった。部屋に戻ると、隣の人がしきりに大腸検査が痛かったと言っていた。詳しく訊いてみると、大腸がきれいだから、S字結腸を越え、まだ奥までいったということで、この病院は患者によって対応が違うことがわかった。