2月24日(火)


  午前8時20分頃に現れた三邦先生に産振(産業振興会の略で5年に1回コンピュータを新しく更新することができ、古いパソコンは廃棄していた)で廃棄になるパソコン類を職員向けに案内してはどうかと訊いてみたところ、
「何でそんなもんしなくてはいけないんだ」との返答があり、取り合おうとはしなかった。
  1時半に卒業判定会議があり、3時に終了した。会議終了直後に単位の認定について訊こうとしたが、教頭が教務に訊いてくれということで、1階の職員室に戻ったところで江島先生に訊いてみた。
「チーンと座っている子がいるのですが、学力が低くて、情報Aの目標(単にコンピュータや情報通信ネットワークを使うことを学ばせるのではなく、情報手段を適切に選択して活用し、情報の特性を理解し、よりよい情報社会の創造に貢献しようとする態度を育てていくこと)に、どう考えても届かないのです。ただ、チーンと行儀よく座っているので、出席点、態度点合わせて、50点満点だとすると、単位がとれてしまいます。それでよいのかわかりません」
「難しい質問ですね。教科で考えることだけれども、単位は出すべきですね」との返答があった。
  午後4時、ウィルス対策ソフトを進路課のパソコンにインストール中、ファイルが壊れているという画面が出てきた。そこで、三邦先生が県の教育員会からもらってきたウィルス対策ソフトを思い出し、そのCD―ROMのバックアップをしに情報準備室へいった。そこに商業科の先生がいて、なにやら作業をしていた。そこで先程、江島先生に話した事を言うと、
「単位は出すべきで、シラバスというのは全く意味のないこと。教科の目標から大分ずれていたとしても、単位は出す。あれ(シラバスの内容)は、建前で、実際はまるで違うことをやっている。情報公開で、外部の者が来たら、そのときだけ、指定の教科書を持ってこさせ、そのときだけの授業を、いつもやっているというように、演技しなくてはいけない」と言うことだった。
  5時過ぎに、焼き付けたバックアップCD―ROMを持って進路課にいったところ、大須磨教頭と情報管理課の先生がおり、パソコンの印刷ができないエラーに対して印刷ができるように処置していた。印刷については、切り替え機を交換すればうまくいくという話があり、切り替え機は、今、産振で、旧のパソコン類を廃棄するときで、これと同じものがあればよいし、なければ、買うしかない。ただ、昔のものだから、今売っているかわからないという報告だった。
  午後6時に2階にある3年の職員室を覗くと、ある担任が会議で認められた単位認定のための補習について、該当の生徒へ連絡しているところだった。丸山先生は訊いてみた。
「生徒への連絡大変ですね」

彼女はいつもの優しい笑みを曇らせて、
「2人の生徒とも片親なんですよ」
「問題のある生徒ほど、仕事させたら、しっかりこなすんですよ。しかし、学業が優秀だと思われる生徒がぐだぐだ言いながら、仕事が遅いのですが」丸山先生が問い掛けると、

彼女はこちらに振り向き、笑みを浮かべて、
「問題をかかえている子は、アルバイトで仕事をしっかりしていますよ」
「外での仕事でがんばっているのだから、問題ないのではないですか。問題は、学業をやっている生徒で、仕事ができない生徒ですよ」
「そうですね・・・・・・」彼女は軽く頷いた。