2月19日(木)  


  8時半丸山先生は江島先生に学事システムのエラーが直っていないことを連絡した。

「学事(システム)のエラーがあり、サポート会社(学事システム導入にあたって、サポート契約している会社)に連絡して調べてもらっているところです。そのとき、要求のあった電子ファイルをサポート会社に送りました」
「(電子ファイル上にある)生徒の個人情報が流れていますが、校長、教頭に許可をとっていますか」と江島先生は、あらたまった口調で言った。
「こちらで直せない学事(システム)のエラーは、以前から、成績、個人情報の入った電子ファイルを送っています」
「校長、教頭に許可とった方がいいと思いますが」と忠告を受けた。
  今までサポート会社の言う通りに、それしかないと思って行動しており、許可のことまでは頭になかった。早速その許可をとりに9時頃に校長室へ行った。
  丸山先生が吉沢校長に事の経緯を伝えたところ、サポート会社の依頼で個人情報の入った電子ファイルを送信することは仕方がないということであった。吉沢校長の顔を見て、ふと学事システムの事で危惧していることを思い出した。
「情報の開示があって学事システムにある出欠を調べられたときに、もし不整合があったら、困ることがないかということです。すなわち、1日休んでいる生徒がその時限だけ出席とか、どうしてもつじつまが合わないことが出てきたときどうするか。そこで一番問題なのは、卒業ができるのにできない。あるいは、卒業ができないのに、できてしまうということを絶対になくさなくてはいけないことです。本当は全生徒を調べることが必要ですが、とりあえず卒業判定会議が近いことから卒業判定が微妙な生徒だけに対象を絞って、教科がもっている講座の出欠情報とクラス担任が持っている日々の出欠情報の整合性を確かめ、説明できるようにしたらどうかと思います」丸山先生は一気に吐き出すようにまくしたてた。
  吉沢校長はパソコンに疎く、どうしてよいか困った顔をしていた。(実は、校長専用のメールアドレスの設定を依頼されたことがあり、アカウント名○○○○、パスワードは××××と設定したことがあった)すぐに大須磨教頭が呼ばれた。再度同じ事を校長、教頭の前で説明したところ、もう一度前期に戻って調べ直すことを、いまさらお願いすることは無理だし、前期あれだけ確認したのだから、何のための確認だかわからなくなるという理由で、調べる必要はないということになった。なお、サポート会社に送信する電子ファイルについては、やむをえないということで許可されることになった。