第4章 放射能におびえる生活

消費者の健康よりも、茶の生産者の生活が優先

 「毎日jp」(5月20日)の「荒茶:検査要請 産地続々拒否へ」で、次の記事があった。

 厚生労働省が、生茶葉を乾燥させた「荒茶」の放射能検査を東日本の14都県に求めた問題で、神奈川、埼玉、栃木の3県は19日までに、検査をしない方針を決めた。静岡県の川勝平太知事も18日、検査要請に応じないと表明しており、産地自治体の反発が広がっている。

 荒茶は生茶葉に比べ放射性セシウムは5倍以上に濃縮されるが、厚労省は生茶葉、荒茶とも1キロ当たり500ベクレルと同じ暫定規制値を設定している。「足柄茶」の産地である神奈川県は「今の規制のままでは、生茶葉で規制値を下回っても、加工段階の荒茶では上回るという矛盾が生じる。湯に溶けだすセシウムは生茶葉の数十分の1で、飲む状態に合わせた規制値に改定すべきだ」と指摘、新たな規制値が示されるまで荒茶の検査は実施しない意向だ。「狭山茶」で知られる埼玉県も「現在の荒茶の規制では茶の産地は壊滅する」としている。

 「奥久慈茶」などで知られる茨城県は最終方針を決めていないが、19日時点で検査に応じていない。

 放射能規制値を超えるから検査しないということは、一体どういうことですか。検査すると、規制値を超えるから、政府が甘い基準値が出されるのを待っているかの内容です。消費者の健康よりも、茶の生産者の保護が優先されている事実がわかります。

高濃度の放射線量検査値がでないように、検査値が小さくなるように検査方法を工夫しているとしかいえない。その検査値を信じて行動している国民はどうなるのか。

1 「週刊文春」(5月26日号)の『「菅政権が妨害した海洋調査 恐るべき「放射能汚染データ」』で、次の記事があった。

 国際環境団体グリーンピースは、原発の南三十〜七十キロにある漁港や海岸などの海藻類から、極めて高い数値が検出されたと速報で発表した。例えば、昆布の一種であるホソメコンブから一万九千ベクレル/ kg 。これまで政府が公表した汚染海産物の数値とはかけ離れた数字だ。

 そのグリーンピースが四月十九日に申請した領海内の海洋調査を、日本政府は拒否し続けている。調査対象は、岩手、宮城、茨城及び千葉の一部である銚子港から十二海里以内の漁場。すでに一カ月たつが、政府の姿勢は頑なだ。

 その一方で政府の調査は、高濃度の被爆が予想される固定性の海棲生物であるワカメや昆布、アサリ、ホタテ、ウニなどを省く“おざなりぶり”だ。しかも、魚に関しては、頭と内臓と骨を除外して測定するという世界でも類を見ない特殊な方法で測定している。

 「危ないものを取り扱ったら、風評被害を受けることがわかっていますから、漁師もみんな『調べよう(モニタリングしよう)』という意識で動いています。

 国民の健康を守るために、また、漁師の生活にために検査するのではなく、まるで高濃度の検査値が出ると予測されるところは検査対象としない。高濃度の放射線量検査値がでないように、検査値が小さくなるように検査を工夫しているとしかいえません。

2 「週刊現代」(5月28日号)の『あなたの町の「本当」の放射線量』で、次の記事があった。

・・・5月2日の「調査結果」をチェックしてみると、東京(新宿区)の数値は0.067〜0.068。小泉氏の計測結果と比較すると、2分の1程度にしか過ぎない。

それにしても、同じ東京都内で測った数値なのに、なぜ文科省の「調査結果」と小泉氏によるデータとでは、こうも大きな差が生じるのか。

 両者の測り方には大きな違いがある。文科省の「調査結果」は、地表から数m〜十数mのところで測ったものなのだ。

一方、小泉氏は地表から100cmのところで測っている。

・・・同じ茨城県内で文科省の「調査結果」の3〜5倍の高い数値が出たということになる。

  人体への影響を測るというのであれば、人間の身長は高くても2m弱ですから、その半分の1mくらいのところで測りましょうというのが、専門家の間での共通認識になっています」

  実は、文科省のホームページを確認すると、「調査結果」以外に、「全国大学等の協力による空間放射線量測定結果」というデータも掲載されている。どのような方法で測定されたのか詳しい説明や、データの意味は書かれておらず、「非常に分かりにくい」(前出の小泉氏)ナゾのシロモノだ。そこで文科省原子力災害対策支援本部広報官に尋ねると、「地上1〜1.5mの地表に近い場所で観測した結果です」と説明した。

  つまり、文科省は「調査結果」よりも高い放射線量を示すデータを把握しておきながら、どういうわけか声を大にして国民に対して注意を喚起しないのである。

 国民の健康を守るために検査するのではなく、検査数値を小さくみせかけるための検査をしているとしかいえません。また、この事実が発覚しても、組織を守るため、追求がかわせるように用意周到に「全国大学等の協力による空間放射線量測定結果」という別のホームページまで用意されています。国民の多くは、記事にある文科省の「調査結果」を信じ行動するに違いありません。何か問題があると、国民に自己責任を問いますが、記事にある「全国大学等の協力による空間放射線量測定結果」が見つけられない場合、やはり自己責任なのでしょうか。

決死隊の健康よりも、金銭的負担の軽減化が優先

「週刊現代」(5月28日号)の「管総理、決死隊は死ねということですか」で、次の記事があった。

福島第一原発では今、作業員の皆さんが、大量被爆の恐怖と戦いながら、事故の収束にむけて必死の努力を続けています。

作業員が大量被爆してしまった場合に備えて、僕は彼らの「造血幹細胞の事前採取と凍結保存」をすべきだと訴えてきました。造血幹細胞とは、簡単に言うと、血液を作る元になる細胞のことです。

たくさんの放射線を浴びると、人の身体から血液の細胞が失われ、病気の発症や死亡に至ります。そのとき、前もって採取しておいた造血幹細胞を移植すれば、回復、延命する可能性が高くなる。臨床実績も豊富にあり、国際的診療ガイドラインに記された、世界でも標準的な治療法です。

舛添氏は国会質問を含めて何度も、この造血幹細胞の採取と保存を求めたが、菅首相と政府は拒否し続けた。その理由は「原子力安全委員会がその必要はないと言っている」「250ミリシーベルトを超える環境での作業は想定していない」「採取には入院が必要で時間がかかる」「作業員の精神的、身体的負担になる」といったものだという。

確かにこの措置には普通、4〜5日間の入院が必要です。しかし、虎の門病院では、短縮して1泊で終える準備を整えている。菅総理らは、それも知っていながら無視しています。

 また、1人につき約15万円という費用がかかるのも事実です。しかし、これは国か東電が出すべきお金。日当3万〜4万円くらいで雇われている作業員がいるわけでしょう。その4〜5日分だと考えれば、決して高くはありません。

今、作業員は事前に「将来、白血病などを発症しても賠償請求しません」という旨の誓約書を書かされているそうです。

この国難にあたって、暑い中、身をていし、防護服を着た最悪の環境の中で、国のため、国民のために、必死に努力している人に対して、あまりにもひどい扱いで、人権を無視しているとしかいえません。かたやこの国難の加害者である東電の役員報酬平均4000万以上、原子力安全委員会の委員は週一回の会議で年収約1650万であったとの報道の記憶を思い出して、憤りを通り越して怒りさえ覚えます。この国は、この政府はどうなっているのでしょうか。

 福島の原発がどのように進行するにせよ、放出された放射性物質やそこから発する放射線が生活の中に入り込んできています。普通の人が安全だといえる放射線の量は、国際勧告と放射線障害防止の法律から1年間に1ミリシーベルトといわれています。

放射線が怖いのは、細胞にある DNA を破壊してしまうからです。 DNA には修復能力があるわけですが、ある程度以上の放射線を浴びて修復できなければ、その細胞が増殖していった場合がんになります。生殖細胞の場合は、奇形児が生まれる確率がより高くなります。

福島の原発事故による移住を考えていますか

1 茨城県在住の埼玉千葉に近い県南です。廃炉といっても数年間はかかる見通しです。そう考えると収束したとしても数年間は心から安心できるような生活ではないです。子供の外での部活動など親としては全く平気とは思えない状態になると思います。

しかし,職場の関係もあり家族で移転する勇気はないのですが、今後数年間,何の心配もなく子供をのびのび育てられる環境に移ることできるのならばわたしは札幌とか遠くへの引っ越しに迷いはありません。 3/22

2 関西以西の移住を考えています。原発関連の NHK ニュースを見ていると、空気中の放射線量は、その値の推移だけでなく、毎日の積算量が重要だと言っていました。福島原発の今後の見込みは、たてられないと堂々と記者会見で言われています。最良のシナリオでも、何年も冷やし続けるしか方法が無く、放射能の漏れもこの先何年、何十年という単位でおこなわれ、防ぐ手立てが無いとのことですので、いっそのこと皆に先駆けて関西に移住しようと思います。遅れをとると関西方面の不動産価格が上昇したり、東京の物件が下落して予算が減ったりするのが心配です。 3/28

3 福島原発より約60キロ離れた郡山市在住の者です。今回の事故の事態収束の見通しが全くつかず、また放射線影響などの不安により生活に支障をきたしている為、当面の間家族で都内への移住を決意しました。

  郡山も大きな地震に見舞われましたが、比較的被害は少なく、原発の問題がなければそのまま住み続ける予定でした。ですが一部では「郡山も避難対象になるはずの地区だが、住民数が多すぎて避難先などがないため指示が出されない」などの噂も飛び交っており、安心して住める状態ではないと感じます。また、放射能の不安で洗濯物も外に干せない・マスクなしでは外出できない、エアコンや換気扇の使用もためらう、など細々とした問題がストレスになっています。 3/31

4 今の東京は子どもさんを出産するには、適当な場所とは言えないと思います。特に胎児は放射能に対する感受性が成人の 10 倍以上あると言われています。関東で生活を続ける限り、放射性物質に汚染された食物を食べてしまう可能性も今後増えると思います。可能ならば、関東以外のところに居住したいと思います。  4/14

外出するときに放射能が気になりますか

1 最大の被爆要因は排出された放射性物質に接する事です。原発事故で、放射性物質が花粉の粒子のように屋外に漂っています。花粉が付くようにこの放射性物質が服に付着したり、吸い込まれたりすると、放射性物質は放射線を出し続けますから、被爆するという結果につながります。したがって、外に出ないように、家にいては窓をあけないように、どうしても外に出る場合はすぐに埃を払い、手を洗うように注意しています。 3/16

2 仕事以外で外出するときに放射能が気になります。ヨウ素131にセシウム、ストロンチウムにプルトニウムまで検出されたとなれば、アメリカ全土が被曝しており、特にアイダホ州は連邦基準の180倍だったとか、カナダでは牛乳の放射線測定を断ったとかいろいろ聞きますが、どうやら嘘ではないようです。

東京で外出すれば死の灰が粉塵となって舞い上がりそれを直接吸えば内部被曝するのであの事故以来、無用な外出は避けています。 4/26

食事に注意していますか

 少ない放射性降下物でも、牧草を食べて育つ牛の肉や牛乳や、事故により海に流れた放射性物質は、福嶋原発から 16km の海上でも汚染されていますから、魚介類の汚染が考えられます。放射性物質は色々あり、どの物質が検知されたか正確な細かい経過情報は発表されていません。レントゲンと違い放射性物質が検知された食物は、体内に入れば体内被曝します。直ちに健康を害しませんが、将来は癌や白血病になるリスクあります。原発が修理され大丈夫となるまでは、食材の産地は念のために関東地区産のものを控えようと思っています。

 風評被害について、どう思われますか

 たとえ僅かであっても、福島原発由来の放射性物質が含まれているなら、それは風評被害ではなく『実害』です。原子炉の内部で生成された、自然界に存在しない、体に取り入れると被曝し続ける物質。セシウム 137 やストロンチウム 90 は、いわゆる『死の灰』の主成分です。仮に『死の灰』が、たいへん健康に良い物質であるにもかかわらず、売れないのであれば、それは風評被害でしょう。しかし実際は、人体にとって 100 %全く不要な“毒物”です。原発が爆発したことにより、毒物が加えられたのですから、これは間違いなく『実害』です。

もしこれが外国で起きた事故なら、とっくに日本は輸入を停止しているでしょう。イタイイタイ病などの公害と同じく、将来何らかの障害が出てきても、因果関係を証明したり、補償額を決めるのに時間がかかったりで、それこそ 50 年以上の歳月がかかります。

遺伝異常により子供や孫に奇形が出たらと思うと恐ろしいです。生産者も被害者ですし、たいへん気の毒だとは思います。

被害については、加害者である東電が補償すべきでしょう。しかし、現実問題として、東電が補償しきれるような額じゃないのは明らかです。そこで『風評被害』ということにしてしまえば、そのぶんは買わない消費者が悪いので、補償額は減ると考えている可能性があります。大手CMスポンサーでもある東電に有利なように、『風評被害』という単語を植え付けておけば、将来見返りとして大量のCM出稿が見込まれます。すでに、原発事故が落ち着いた後に、そのようなシナリオが話し合われているかもしれません。考えだしたらキリがないのですが、自分の身は自分で守ることだと思います。

いくら“基準値以下”であっても、「疑わしいものは買わない」というスタンスを貫き通すことが、今できる唯一の自衛策だと思います。

繰り返しますが、福島原発の悪影響を受けているものは、すべて『実害』です。「毒物が入っているけど、多少食べても直ちに影響は出ないから、東電の補償額を減らすために我慢して食べてください」、こんな理屈がまかり通るでしょうか。

それに、放射性物質が付着したものを、安易に流通させないで欲しい。流通させたことで、その経路に放射性物質が撒き散らされることになる。「ただちに影響」がなくても、その人の排泄物から出た放射性物質はどこに行くのでしょうか。それは土壌汚染・排水汚染につながり、その地に蓄積されていきます。

物質が放射線を放出しなくなるまで長い年月がかかるのです。たとえばプルトニウム 240 が、死ぬまで被曝させ続けたあと、ご遺体が火葬場で焼かれます。焼かれたとしてもプルトニウムはなくなるわけではなく、プルトニウムは、この先何世代も、何万年も放射線を放出し続けるのです。

推測であれば、最悪のケースを想定すべきです。福島原発由来の放射性物質に 100 %汚染されていないと証明されて、初めて「汚染されていない」と言えると思います。

ハウスで栽培されたものでも、直接降下物による汚染は防げても、水、すきま風、人の出入りなどで、僅かに混入する可能性が全くないとは言えません。

また出荷する際にも、外に出すことがあれば、そこで降下物の影響を受けるでしょう。

少しでも、ほんの僅かであっても、福島原発の『死の灰』を含んだものは、すべて『実害』です。 4/8

政府は真実を伝えていると思いますか 

原発周囲の方は、不安な毎日を送られていると思います。不安を助長するようなことをいうのは適切ではないと思いますが、今の日本政府は、まず嘘ではなく、真実を流してくれていないと感じています。

今日テレビを見ていて気になったことがありました。 NHK の原発の映像ですが、昨日までは 30km 離れた上空から撮影でしたが、今日は 40km 離れた上空からに変わっていました。 NHK 自体も 30km では安全でないと自主的に判断をした可能性があります。

30km から 40km の圏内ですが、どこでも同じ条件という訳ではありません。既に SPEEDI という解析ソフトを用いた放射能による汚染状況を示した図が公表されていますが、 30km 以上離れていてもかなり汚染の強い地域も実際あるようです。

医学的に、唯一言えることは、 100 ミリシーベルトを超す被曝があれば、白血病、甲状腺がんなどのリスクが高まる。また不妊などの一時的障害も起こる可能性があるということです。

現在テレビでは 100 ミリシーベルト以下は安全かのように言っていますが、 100 ミリシーベルト以下なら安全ということは証明されていません。危険だと証明されていないことを安全とすり替えて報道されていることに常に疑問を感じています。唯一いえる事実はしなくてよい被曝はしない方がよいということです。

もし立場上許されるならば、私一人仕事のために地域に残り、婦女子は遠くに疎開させたいと思います。

理由は、

@ 福島原発の現状は悪化の一途をたどっており、先が全く読めないこと、そしてかなりの長期戦になる様相を呈していることです。

A 飛散している放射性物質の量が適切に開示されていないこと。

の2つです。

チェルノブイリの時にヨーロッパでは日々雲の動きと共に、放射性物質の拡大予測がテレビで伝えられていたようです。この情報が正確に伝えられさえすれば、比較的近い位置に住んでいても、屋内退避レベルかどうか、服装をどうするか、そしてその日の水を飲めるかどうかを日々判断し、ある程度は安全に生活できると思います。

しかし、現状では、「測定結果」しか伝えられていません。こんな状況では、近くに子供を住まわせる気になれないというのが率直な意見です。